皆さん、こんにちは!てつやです。
先日、こんな記事が目に入りました。
コラムニストの尾藤克之氏が書いた「Claudeが磨いたのは文章処理という一点」という論考です。おサイフケータイ、ワンセグ、赤外線通信──日本製ガラケーが搭載していた多彩な機能を一切持たない初代iPhoneが、機能満載のガラケーを駆逐したという話から始まる記事です。
この一文を読んで、私はすぐに「あ、これは知っている構造だ」と感じました。現役時代に何度も目の当たりにしてきた、あのパターンと同じだ、と。
自由度が、使われない理由になっていた

私は現役時代、業務改善を担当することが多くありました。
ある時期、営業部門の提案書作成を効率化しようと、標準化された部品を自由に組み合わせて顧客ごとのオリジナル提案書が作れる仕組みを構築したことがあります。
自由な組み合わせで、素早く、個社ごとに対応できる。作った側としては、これ以上のメリットはないと自信満々でした。
ところが、なかなか使われない(苦笑)。
原因を調べてみると、自由度そのものがブレーキになっていたことが分かりました。「どの部品を選べばいいか」「どう組み合わせるか」——選択肢が多すぎて、最初の一歩が踏み出せなかったのです。
改善策は逆転の発想でした。
毎回ゼロから自由に選ぶのをやめて、提案ケースに応じた「組み合わせ済みのアセット」を数パターン用意しておく。それをベースに微調整する形に変えたら、するっと使われるようになりました。
自由に組み合わせられることは変わっていません。変わったのは「入口の明快さ」だけでした。
iPhoneが勝ったのも、同じ構造だ

この体験を思い出しながら、記事のガラケー対iPhoneの話を読み返しました。
多機能であること自体が悪なのではない。問題は、多機能の入口でビジネスパーソンがつまずいている現実のほうにある。
まったく同じ構造です。
ガラケーは機能が豊富でした。しかし「まず何から使えばいいのか」という入口が複雑だった。iPhoneはシンプルな入口を提供することで、使い始めるハードルを下げました。機能の多寡ではなく、入口の明快さが勝敗を分けたのです。
AI活用でも、同じことが起きている

生成AIの名前を知っている人は増えました。でも、実際に業務で使いこなせている人は、まだごく一部です。
認知と活用のあいだに断絶がある。この断絶の正体も、同じ構造だと私は思っています。
「ChatGPTもClaudeもGeminiも、何でもできる」と分かった瞬間、多くの人が止まります。何でもできるということは、何から始めればいいか分からない、ということでもあるからです。
提案書の仕組みが「自由すぎて使われなかった」のと、まったく同じ罠です。
だからこそ、何に絞り、何を磨くか──その選択こそが、ツールの本質的な価値を決めるという言葉が刺さります。
これはツールを作る側だけの話ではありません。使う側にも同じ問いがあるのです。
「自分は何のためにAIを使うのか」
「今の業務でAIが一番効く場所はどこか」
この問いを持っている人が、AI活用で成果を出しています。多機能を追いかけるより、入口を一つ明快にする方が、はるかに前に進めます。
入口を絞ることが、地図を持つということだ

ガラケー対iPhoneの構図が教えてくれるのは、機能の優劣ではありません。
使い始める入口の明快さが、道具の価値を決めるということです。
提案書の仕組みも、AI活用も、同じ構造でした。自由度を与えるより先に、「まずここから」という入口を用意することが、人を動かす。
道具は変わります。しかし「何に絞るかを先に決める」という姿勢は変わりません。
この問いの順番を、「考える技術とAI」シリーズでは一つずつ整理しています。
あなたは今、どこから始めますか。
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最後までお読みいただき、ありがとうございました。 それでは、また次の記事でお会いしましょう!
参考:アゴラ「Claudeが磨いたのは文章処理という一点」(2026年5月16日)

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