皆さん、こんにちは!てつやです。
以前、ロウバイとキンモクセイの香りについての記事で、季節の目印を探しながら歩く散歩の楽しみをお伝えしました。
「そろそろかな」と、家を出た瞬間から香りを意識し始める。風に乗って届く香りに、「あ、咲いた」と妻と顔を見合わせる。
あの何気ない習慣が、最近読んだある本をきっかけに、少し違う意味を持ち始めています。
「香りを探す」だけだと思っていた

散歩中、キンモクセイの木のそばで足を止める。
香りが届く場所まで歩いて、しばらくそこに立っている。
正直に言うと、この習慣を「季節の記録」くらいにしか捉えていませんでした。ブログのネタになる、ちょっとした発見。そのくらいの位置づけです。
同じことは、霊園に群生していたネジバナを調べたときにもありました。「今年だけ様子がおかしいのでは」という違和感を、仕組みを調べることで解消する。そのプロセス自体を私は「調べて理解する楽しさ」だと思っていたのです。
でも、最近知ったある考え方に照らすと、あの足を止めた数秒には、もうひとつの意味があったのかもしれません。
生きがいの五本柱という考え方

脳科学者の茂木健一郎氏は、著書『生きがい』の中で「生きがいの五本柱」というものを紹介しています。
- 小さく始める
- 自分を解放する
- 持続可能にするために調和する
- 小さな喜びを持つ
- 〈今ここ〉にいる
この五本柱は、高尚な目標や達成を必要としません。誰かに理解されなくても、本人がそこに意味や価値を感じられれば、それで十分だとされています。
これを読んだとき、思わず散歩道の光景が頭に浮かびました。
香りが届くのを待って、東屋のベンチでじっと座っている数分間。あれは、まさに〈今ここ〉にいる時間そのものだったのではないか。
そして、香りに気づいた瞬間の「あ、咲いた」という小さな喜び。効率でも成果でもない、ただそれだけの喜びです。
整理する力とAI思考の地図

一方で、私は仕事柄、長く「目的→境界・制約→優先順位」という順番で物事を整理してきました。
AIと対話するときも、この順番で考えを整えると、自分の意図がぶれにくい。それを私は「AI思考の地図」と呼んでいます。
| 整理する力(AI思考の地図) | 意味を感じる力(生きがいの五本柱) |
|---|---|
| 目的を定める | 〈今ここ〉にいる |
| 境界・制約を引く | 自分を解放する |
| 優先順位をつける | 小さく始める・小さな喜びを持つ |
こうして並べてみると、面白いことに気づきます。
目的を問うという行為は、〈今ここ〉から一度離れる行為かもしれません。
優先順位をつけるという行為は、小さく始めるというあり方と、時に矛盾するかもしれません。
整理する力と、意味を感じる力は、似ているようで、実は別の筋肉なのではないか。そんな気がしています。
答えは、まだ出ていません。
AIに渡してよいもの、渡してはいけないもの

もうひとつ、気になった言葉があります。
茂木氏は、AIが人の生きがいを奪いうる存在だとして、「AIは生きがいと真逆のものだ」と語っています。AIがアニメをつくるようになれば、絵を描くことに生きがいを感じていたクリエイターの居場所が脅かされる、という趣旨です。
この言葉を読んで、あの散歩道の光景をもう一度思い出しました。
「香りが届くのを待つ」という行為自体を、もしAIに肩代わりさせていたらどうなるか。たとえば、開花予測をAIに教えてもらい、最も効率よく香りに出会えるタイミングだけを狙って歩く。
そうすれば、より確実に、より効率的に、季節の香りに出会えるはずです。
けれど、それは今、私たちがしていることと同じなのだろうか。
正直、まだうまく答えが出せません。
AI思考の地図は、AIに何を渡すかを整理するための道具として育ててきました。ただ、この地図が「渡してはいけないもの」の輪郭まで示してくれるのかどうかは、今の私にはまだ分かっていません。
まとめ:香りのアンテナは、地図の外側にある

「そろそろかな」と待つ時間。
香りに気づいた瞬間の、小さな喜び。
これらは、効率化すべきことでも、AIに任せるべきことでもなく、味わうためだけにある時間なのかもしれません。
整理する力と、意味を感じる力。この2つが、地図の中でどう位置づけられるのか、もう少し考えを重ねていきたいと思っています。
皆さんにも、最近、言葉にしようとして手が止まった瞬間はありましたか。それは、効率化すべきことでしたか。それとも、味わうべきことでしたか。ぜひコメントで教えてください。
この問いの順番を「考える技術とAI」シリーズでは一つずつ整理しています。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
それでは、また次の記事でお会いしましょう!
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▼この記事のヒントになった一冊
生きがい (新潮文庫) / 茂木健一郎


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