皆さん、こんにちは!てつやです。
先日、こんな記事が目に入りました。
第15代ワールド・バリスタ・チャンピオン、井崎英典氏が語るマクドナルドとコンビニのコーヒーの話です。SNSでも「マックとセブン、どっちが美味しい?」という比較がよく飛び交っています。
でも井崎氏はこう言い切りました。
「そもそもその比較はナンセンスだ」
この一言を読んで、私はすぐに「あ、これは知っている構造だ」と感じました。成田空港の電子化行列の話と、まったく同じ取り違えがここにもある、と。
問いそのものが、間違っていた

井崎氏がマクドナルドのコーヒー改善に関わった際、まず現場を観察したといいます。
そこで発見したのは、予想外の事実でした。マクドナルドでコーヒーを飲む人の最も多いパターンは、コーヒー単体ではなく、セットメニューの一部として注文するケースだったのです。
井崎氏は、以下のように語っています。
「ハンバーガーやポテトと一緒に飲まれるなら、求められる味はまったく変わる。冷めても美味しく、食事の味を邪魔しない。それがマクドナルドのコーヒーに必要な条件でした」
一方、コンビニのコーヒーはどうか。コンビニにとってコーヒーは「集客のための撒き餌」だと井崎氏は指摘します。コーヒーで来店させ、弁当やサンドイッチをついで買いしてもらう構造。だからこそ品質にコストをかけられる。
つまり両者は、同じ「コーヒー」でも、出発点の文脈がまったく異なる。
「どちらが美味しいか」という問いは、この文脈を無視しています。だから答えが出ない。答えが出ないのではなく、問いが間違っているのです。
「使いにくいシステム」も、問いが間違っていた

私は現役時代、業務改善の現場に長く関わっていました。
ある時期、「このシステムが使いにくい」という相談を受けたことがあります。担当者は「もっと使いやすいシステムに替えてほしい」と言っていました。
でも私は、すぐにシステムの話には入りませんでした。まず聞いたのは「その業務の目的は何ですか?」という問いでした。
現場を歩いて、データの流れを目で追って。するとしばらくして見えてきました。そもそも業務フロー自体が、目的と合っていなかったのです。
システムを替える前に、手順を見直すだけで問題が消えたのです。
「使いにくいシステム vs 使いやすいシステム」という比較は、文脈を無視した問いでした。本当に問うべきは「その業務は、何のために存在しているのか」でした。
AI活用でも、同じことが起きている

この構造は、AI活用でもまったく同じです。
「ChatGPTとClaudeどちらがいいか」「有料と無料、どちらを使うべきか」
こういった比較が飛び交っています。
でも、これも「文脈を無視した問い」かもしれません。
本当に先に問うべきは、こちらです。
「今、自分はどこで困っているのか?」
マクドナルドのコーヒーが「ハンバーガーと一緒に飲まれる」という文脈から設計されたように、AI活用も「自分の困りごと」という文脈から設計する必要があります。それを抜きにすると、何を使っても「なんか違う」になってしまう。
まとめ ── 文脈が価値を決める

井崎氏はこう伝えています。コーヒーに絶対的な正解はない。誰のために、どう飲まれるかを起点に設計することがビジネスの正解である、と。
それはそのまま、「判断の地図」の核心でもあります。
- 自分の本当の目的は何か?
- どんな文脈の中で使うのか?
- その文脈に合った手段は何か?
道具を比較する前に、この問いを先に立てる。その習慣が、コーヒー選びも、AI活用も、少しだけ迷いのないものにしてくれます。
この問いの順番を、「考える技術とAI」シリーズでは一つずつ整理しています。
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最後までお読みいただき、ありがとうございました。 それでは、また次の記事でお会いしましょう!
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