皆さん、こんにちは!てつやです。
昨年3月に長年勤めた会社を定年退職してから、早いもので今月で9か月が経ちました。
現役時代は時間に追われる毎日でしたが、今は一日の終わり、夕暮れ時の穏やかな時間を大切に過ごしています。
私たちの毎日の楽しみは、近所を流れる川沿いの散歩です。 5年前に亡くなった愛犬がいた頃は、朝と夕方の2回が当たり前でしたが、今は夫婦二人、夕方の1回が定年後の新しい日課になりました。
この散歩道には、私たちの「季節の目印」があります。 それは、ふとした瞬間に漂ってくる「花の香り」です。
といっても、たまたま気づくのではありません。「そろそろ、あの香りがしてくる頃かな」と、夫婦でワクワクしながらその香りの訪れを探しているのです。
今回は、そんな散歩道で見つけた、季節からの「香りの便り」について綴ります。
ロウバイの香り:冬の澄んだ空気に溶ける甘さ

冬の散歩道で、私たちが一番心待ちにしているのがロウバイ(蝋梅)です。 ロウバイが咲いているのは、私たちの散歩コースのちょうど折り返し地点にある小さな公園。
12月に入ると、「そろそろかな」と公園に近づくにつれて鼻をすんとさせ、冬の冷たい空気の中に混じる甘い香りを探し始めます。 見つけると、「あ、やっぱり咲き始めたね」と妻と顔を見合わせる。これが冬の散歩の醍醐味です。
ロウバイは、その名の通り蝋(ろう)細工のような透明感のある黄色い花を咲かせます。 葉が落ちて寒々とした公園の中で、この花だけがポッと灯火のように咲いている姿は、見ているだけで心が温まります。
不思議なのは、花はとても控えめで小さいのに、その香りは公園の入り口までしっかりと届いていることです。冷たい空気の中で、その甘い香りがより一層際立って感じられます。
キンモクセイの香り:秋の訪れを知らせる強い存在感

このロウバイの香りを嗅ぐと思い出すのが、秋のキンモクセイ(金木犀)です。
私たちの散歩コースの出発点、自宅からすぐのところに、東屋(あずまや)とベンチがある小さな休憩場所があります。そこにあるのが立派なキンモクセイの木です。
9月の終わり頃になると、「そろそろキンモクセイの出番だね」と、家を出た瞬間から香りを意識し始めます。 風に乗って数十メートル先からでも「あ、咲いた!」と分かるほどの強い存在感。
でも面白いことに、東屋のベンチに座って花のすぐそばまで行くと、遠くで感じた時よりも香りが柔らかく、時には弱く感じることさえあります。
「近くよりも遠くで香る」――。ロウバイもキンモクセイも、この「絶妙な距離感」が何とも言えない魅力なんです。
なぜ?「近くより遠くで香る」のには理由があった

なぜ、これらの花は遠くで、ふとした瞬間に強く香るのでしょうか? 少し調べてみると、いくつかの理由が見えてきました。
| 特徴 | キンモクセイ(秋) | ロウバイ(冬) |
|---|---|---|
| 開花時期 | 9月下旬 〜 10月 | 12月 〜 2月 |
| 香りの印象 | 華やか、甘みが強い | 清楚、石鹸のような甘さ |
| 遠くで香る理由 | 揮発性が高く、風に乗りやすい | 乾燥した空気で分子が飛びやすい |
- 香りの分子の「旅」
これらの花の香り成分は「揮発性(きはつせい)」が高く、空気中に広がりやすい性質があります。風に乗って遠くまで運ばれるため、少し離れた場所にいる時に、密度がちょうど良く鼻に届くのです。 - 空気の乾燥と拡散
キンモクセイの秋、ロウバイの冬。どちらも空気が乾燥する季節です。湿度が低いと、香りの分子は空気中の水分子に邪魔されず、より遠くまでスムーズに旅をすることができるのだそうです。 - 人間の鼻の「慣れ」
ずっと強い香りを嗅いでいると、鼻がマヒしてしまう「嗅覚疲労」という現象が起こります。花のすぐそばよりも、風向きによって「ふわっ」と突然届く香りの方が、私たちの脳に鮮烈な印象を残してくれるのですね。
「そろそろかな」と探している時に、風が運んできてくれる香りの便り。その「偶然の出会い」が、私たちの散歩をより豊かなものにしてくれています。
散歩で感じる小さな幸せ

川沿いの決まったコースを、愛犬との思い出と共に歩く。 愛犬がいなくなった寂しさは消えることはありませんが、彼と一緒に歩いたこの道で、今もこうして季節の変化を五感で楽しめることに感謝しています。
目的地である公園でロウバイの香りに包まれ、帰り道に東屋の横を通る(秋ならキンモクセイの香りを惜しみながら)。 そんな何気ない日常の中にこそ、定年後の本当の贅沢があるような気がします。
「次はいつ、満開になるかな」
「明日はもっと香るかな」
そんな小さな期待を胸に、明日もまた、夫婦で川沿いへ出かけたいと思います。
まとめ:季節の香りを楽しむ散歩のすすめ

ロウバイとキンモクセイ。 どちらも、私たち夫婦にとって、散歩道を彩る大切な「香りの目印」です。
遠くで香るからこそ、探す楽しみがあり、見つけた時の喜びもひとしおです。 皆さんも、いつもの道を歩く時、少しだけ「香りのアンテナ」を広げてみてはいかがでしょうか?
不定期シリーズ「季節の香り散歩」として、これからも道端の小さな発見を届けていきたいと思います。
皆さんの散歩道には、今、どんな香りが漂っていますか? ぜひコメントなどで教えてくださいね。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
それでは、また次回の記事でお会いしましょう。 てつやでした!


コメント