皆さん、こんにちは!てつやです。
定年を迎えて半年。毎日のんびりと、でも意外と忙しくブログを書いたり、趣味の車中泊の計画を練ったりして過ごしています。
さて、定年後にゆっくりネットニュースなどを読む時間ができて気づいたのですが、最近「ワークインライフ(Work in Life)」という言葉をよく見かけませんか?
「え? ワークライフバランスの間違いじゃないの?」
恥ずかしながら、最初見たときはそう思いました。「バランス」じゃなくて「イン」? 言葉の響きだけ聞くと、「仕事とプライベートの境界線がなくなって、四六時中仕事のことばかり考えてしまうのでは……?」なんて、ちょっと怖いイメージも持ってしまいました。
でも、定年を迎えて一歩引いた目線でこの言葉を調べてみると、これは私たちが働いてきた時代とは違う、新しい時代の「生き方」そのものなのかもしれないと感じるようになりました。
今回は、この「ワークインライフ」について、私なりに調べ、現役時代の経験と照らし合わせながら考えてみたことを書いてみたいと思います。
この記事でわかること:
- ✅ ワークインライフとワークライフバランスの決定的な違いと注目の背景
- ✅ 富士通、ユニリーバなどの企業事例から学ぶ、新しい働き方の成功の鍵
- ✅ 働く側が知っておくべき、ワークインライフの具体的なメリット・デメリット
- ✅ 定年を迎えた筆者が経験した「ワークインライフ」のリアルな光と影
- ✅ これから働く若い世代が「仕事に飲み込まれないため」に気をつけるべき実践的な物差し
ワークインライフとワークライフバランスの違い

まず、「ワークインライフ」と「ワークライフバランス」。似ているようで、実は考え方の根っこが違うようです。私が調べて腹落ちした違いをまとめてみます。
ワークライフバランス(Work-Life Balance)
これは私たちが現役時代、特にここ10年くらいで耳にタコができるほど聞いた言葉ですね。
- イメージ: 天秤(てんびん)
- 考え方: 「仕事」と「生活(プライベート)」は別物。明確に境界線を引き、その配分を調整して両立させること。
- 背景: 働きすぎを防ぎ、私生活も充実させようという「働き方改革」の流れ。
ワークインライフ(Work in Life)
一方で、今回テーマにしているこちら。
- イメージ: 大きな円の中に小さな円が入っている状態
- 考え方: 「人生(Life)」という大きな器の中に、「仕事(Work)」という要素が含まれている。仕事と生活を切り離さず、統合して捉えること。
- 背景: テレワークの普及などで、場所や時間の制約が薄れ、境界線が曖昧になったこと。
決定的な違いは、「包含」か「対立」か
- ワークインライフ: 仕事 ⊂ 人生(人生の一部として仕事をどう位置づけるか?)
- ワークライフバランス: 仕事 vs 生活(どちらを優先するか?)
図で表すなら、大きな「人生」という画用紙の中に「仕事」という絵を描き込んでいるのが前者、天秤でバランスをとっているのが後者、といったところでしょうか。
なぜ今?「ワークインライフ」が注目される背景
なぜ今、この言葉が注目されているのでしょうか。やはり一番のきっかけは、コロナ禍によるテレワークの普及でしょう。
私もそうでしたが、自宅のリビングが職場になり、通勤時間が消滅しました。洗濯機を回しながらメールチェックをしたり、休憩時間に夕飯の下ごしらえをしたり。物理的に「ここからが仕事、ここからが生活」という境界線を引くのが難しくなりましたよね。
つまり、「境界線を引くのが難しいなら、いっそその状況を前向きに捉えて、人生全体の中で仕事をデザインしよう」という流れが生まれてきたのだと思います。
実際、この「ワークインライフ」という考え方は、2021年に総務省の提言書(「テレワークの推進に関する検討会」など)で取り上げられるようになった、比較的新しい概念です。理想論というよりは、「変わってしまった現実への適応」から生まれたものなのかもしれません。
私が最初抱いた違和感:「仕事に飲み込まれるのでは?」という疑問
正直に言います。最初にこの概念を知った時、私は強い違和感を覚えました。
「仕事と生活を統合するなんて言ったら、結局はずっと仕事モードになってしまうんじゃないか?」
「企業が社員を長時間働かせるための口実にするんじゃないか?」
古い人間と言われるかもしれませんが、仕事は仕事、休みは休みと分けたいタイプだったんです。
でも、違和感を持ったまま終わりたくなかったので、もう少し深掘りしてみることにしました。すると、この概念には「個人の自律」と「企業の文化」の両方がセットでないと機能しないという、本質的な課題が見えてきました。
制度として「いつでもどこでも働けます」と言われても、上司が常に監視していたり、深夜のメールが当たり前だったりする環境では、それはただの「終わりのない労働」です。
ワークインライフを実践するには、「自分で自分の働き方をコントロールする力」と、それを許容する「組織の信頼関係」が必要不可欠なのです。
結局のところ、名前が「バランス」から「インライフ」に変わっても、「自分の人生をどう設計し、どこまでは譲れないかを明確にする」という本質的な課題は変わらないんですね。むしろ、ワークライフバランスで培った「バランス感覚」こそが、ワークインライフを実践する際の「物差し」になるのだと気づきました。
ワークインライフを導入する企業事例と成功の鍵
私個人の体験を語るだけでなく、実際にこの「ワークインライフ」という新しい考え方を制度として取り入れている企業があるという事実は、若い世代の皆さんにとって大きな希望になるでしょう。
今や、働き方改革は「天秤(バランス)」から「人生への統合(イン)」へとシフトしつつあります。ここでは、この変革に成功している具体的な企業事例と、そこから見えてくる成功の鍵を見ていきましょう。
【事例1】大手企業の柔軟な働き方:富士通とユニリーバ・ジャパン
規模の大きな企業でも、働き方を抜本的に変革し、社員の人生を尊重する姿勢を見せています。
- 富士通株式会社: 2020年以降、全従業員の90%以上がテレワークに移行し、オフィスワークに完全には戻さない方針を打ち出しました。これは単に「場所を問わない」というだけでなく、個人の事情や希望に合わせて「いつ、どこで働くか」を従業員自身が設計できる環境を提供した代表例です。
- ユニリーバ・ジャパン・ホールディングス: 「WAA(Work From Anywhere and Anytime)」という独自の制度を導入しています。これは、上司への申請さえあれば、理由を問わず働く場所と時間を自由に選べるというもの。これはまさに、「仕事は人生の一部であり、個人の価値観を最優先する」というワークインライフの思想を体現しています。結果、社員の幸福度や生産性が向上したというデータも出ています。
これらの事例から分かるのは、企業側が「成果さえ出れば、働き方は問わない」という高い信頼関係を従業員と結んでいるということです。
【事例2】「場所や時間にとらわれない」働き方の実例
大規模なオフィスワーカーだけでなく、現場の働き方にもこの考え方は適用されつつあります。
例えば、製造業のブラザー工業は、コロナ禍以前からテレワークやモバイルワークを積極的に推進し、育児や介護と仕事の両立を支援してきました。また、ITエンジニアやデザイナーといった職種以外にも、訪問看護師など特定の時間・場所でしか対応できない職種においても、情報共有の方法や移動時間を最適化することで、「人生の中での仕事の比重」を見直す動きが広がっています。
企業が成果を出すために必要な「組織の信頼関係」
成功している企業の根底には、制度以上に「文化」があります。
制度として「いつでもどこでも働けます」と謳っても、上司が常に部下を監視したり、「いつでも連絡がつくこと」が暗黙の了解になっていたりする環境では、それはただの「終わりのない労働」にすぎません。
私が現役時代に経験したように、「成果さえ出せば、いつどこで働いてもいい」という上司と組織の「信頼」があってこそ、ワークインライフは機能します。この「組織の信頼関係」こそが、柔軟な働き方から最大限の成果を引き出す成功の鍵なのです。
ワークインライフの「光」と「影」:メリット・デメリット
ワークインライフは、理想的な働き方のように聞こえますが、当然ながら「光」の部分と「影」の部分が存在します。これを理解した上で取り組むことが、仕事に飲み込まれないために不可欠です。
働く側のメリット:幸福度向上と生産性の相乗効果
- 生活の質の向上(QOL): 通勤時間が無くなり、休憩中に家族との時間を設けたり、趣味や自己啓発に時間を費やせるようになるなど、人生全体の幸福度が高まります。
- 高い生産性: 集中したい時は自宅で、協力が必要な時はオフィスで、というように、その日のタスクに合わせて最適な環境を選べるため、生産性が向上します。
- 自己実現の機会: 仕事とプライベートの境界が薄れることで、仕事を通じて得たスキルを副業や趣味に活かすなど、仕事が自己実現の重要な要素となります。
知っておくべきデメリット:境界の曖昧さと自己管理能力
- オンとオフの境界が曖昧になるリスク: 私自身が経験したように、「あと少しだけ」と夜遅くまで仕事をしてしまったり、休日に仕事のことが頭から離れなくなったりと、長時間労働に陥るリスクがあります。
- 自己管理能力の厳しさ: 会社があなたの時間を管理してくれる「ワークライフバランス」とは違い、「いつ、どこで、何をやるか」を全て自分で決めなければなりません。強い自律心と自己管理能力が常に求められます。
- 孤独感: チームメンバーと物理的に離れて働く時間が増えるため、コミュニケーション不足による孤独感や疎外感を感じる可能性があります。
現役時代を振り返って:私の働き方とワークインライフ
ここで、少し私の現役時代の話をさせてください。
私は定年前、企画関連の部署にいました。幸運なことに「裁量労働制」が適用されていて、コロナ禍以降は出社回帰の流れの中でも、かなり自由にテレワークを活用させてもらっていました。
今振り返ると、あれは「ワークインライフ」に近い働き方だったと思います。
恵まれた環境で得られたもの
- 通勤時間の削減: 往復2時間の通勤時間が浮いた分、以前から興味があったパソコンの勉強や、このブログの準備に時間を割くことができました。
- 集中できる環境: 企画書を作る時など、誰にも邪魔されたくない時は自宅にこもり、打ち合わせがある時だけ出社する。
- 家族との時間: 妻と昼食を一緒に食べたり、孫の急な送迎を手伝ったり。
これは本当に恵まれた環境でした。「成果さえ出せば、いつどこで働いてもいい」という職種と制度、そして理解ある上司に恵まれていたからです。
正直に言うと、良いことばかりではなかった
ただ、正直に言うと、良いことばかりではありませんでした。
自宅にいると、どうしてもオンとオフの切り替えが難しい。「あと少しだけ」と夜遅くまで資料を作ってしまったり、休日にふと仕事のアイデアをメモし始めたり。
「仕事が終わった!」という開放感は、出社していた頃より薄かったかもしれません。
今思えば、これが「ワークインライフの落とし穴」だったのかもしれません。自由に見えて、実は自分で境界線を引く責任を負っていたんですね。
【参考書籍のご紹介】
テレワークを活用した働き方について、私も試行錯誤しながら取り組んできましたが、より体系的に学びたい方にはこの本がおすすめです。
- 書名:リモートマネジメントの教科書
- 著者:武藤久美子
- 出版社:クロスメディア・パブリッシング
リクルートマネジメントソリューションズのシニアコンサルタントで、自身も2013年からリモートワークを実践している著者が、150社以上のコンサル経験を基に実践的なノウハウを公開しています。「オンオフの切り替えが難しい」という私の悩みに対するヒントもたくさん見つかりました。
若い世代へ:ワークインライフを活かすために必要なこと
私の体験を踏まえて、これからキャリアを積んでいく若い世代の皆さんに、お節介ながら伝えたいことがあります。
ワークインライフは、言葉の響きはかっこいいですが、「自己責任」の側面が非常に強い働き方です。
会社や上司があなたの時間を管理して守ってくれる「ワークライフバランス」の時代から、自分で自分の人生を設計し、その中にどう仕事を配置するかを決める時代へシフトしています。
自分だけの「物差し」を持つこと
そこで大切になるのが、自分だけの「物差し」を持つことです。
- 「自分は人生で何を大切にしたいのか?」
- 「仕事にどれくらいのエネルギーを注ぎたいのか?」
- 「ここからはプライベートだから踏み込ませない」という線引き。
この「物差し」がないままワークインライフの世界に飛び込むと、仕事という強い波に人生全体が飲み込まれてしまいます。
会社選びで見るべきポイント
そしてもう一つ。会社選びの際には、「テレワーク可」などの制度だけでなく、「その柔軟な働き方が本当に文化として根付いているか」を見る目が重要になるでしょう。
面接や職場見学の際、次のような点を観察してみてください:
- 先輩社員が疲弊した様子ではなく、楽しそうに働いているか
- 「いつでも連絡がつく」ことが暗黙の了解になっていないか
- 上司が部下の成果で評価しているか、それとも「見えている時間」で評価しているか
これらは制度以上に、あなたの働きやすさを左右します。
定年後の私たち世代へ:若い世代を理解するために
最後に、私と同じ定年世代、あるいは管理職世代の皆さんへ。
「最近の若者は、すぐに権利ばかり主張して……」なんて思ってしまうこと、ありませんか?(私はたまにありました……笑)
でも、彼らは私たちが経験したことのない「境界線のない世界」で、必死に自分の人生と仕事の折り合いをつけようともがいているのかもしれません。
「昔はこうだった」という自分の物差しで測るのではなく、「今の環境ではどうするのがベストなのか」を一緒に考え、彼らの新しい価値観を理解しようとする姿勢が、私たちには求められている気がします。
定年前後には再雇用や副業の可能性も検討しましたが、この「ワークインライフ」の考え方は、私自身が今行っているブログ執筆や趣味の活動など、定年後の第二の人生を豊かにするためにも役立っています。
もっと深く知りたい方へ
「ワークキャリア」から「ライフキャリア」への転換について、具体的に学びたい方にはこちらがおすすめです。
- 書名:ライフキャリア:人生を再設計する魔法のフレームワーク
- 著者:原尻淳一・千葉智之
- 出版社:プレジデント社
まさに記事で書いた「ワークインライフ」の定年後版と言える内容です。有形資産・無形資産の棚卸し方法や、「パーソナル・ビジネス」で第3の収入源を作る具体的な方法が学べます。対談形式で読みやすく、実践的なワークシートもダウンロードできます。
また、定年後の実態をデータで知りたい方にはこちらも。
- 書名:ほんとうの定年後~「小さな仕事」が日本社会を救う
- 著者:坂本貴志
- 出版社:講談社現代新書
リクルートワークス研究所の研究員である著者が、定年後の収入の現実(平均256万円)や、「小さな仕事」の意義を説いています。私自身、この本を読んで「ワークインライフ」の定年後版を考えるきっかけになりました。
まとめ:ワークインライフは手段であって目的ではない
「ワークインライフ」という言葉に振り回される必要はありません。
大切なのは、「自分らしい人生をどう生きるか」という目的があり、そのための手段として働き方があるということです。
定年を迎えた今、私は「ブログ」や「車中泊」という新しい楽しみを人生の中心に据えつつあります。考えてみれば、これも一つの「ライフインワーク」──いや、もはや「仕事」という枠を超えた、「人生そのもの」を楽しんでいるのかもしれません。
皆さんも、一度立ち止まって、ご自身の「働き方の物差し」を見つめ直してみてはいかがでしょうか? 人生の主役は、いつだって自分自身です。
それでは、また次回の記事でお会いしましょう!てつやでした。





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